メディポリス がん粒子線治療研究センター

日本で唯一の「リゾート滞在型」粒子線がん治療施設
粒子線がん治療施設としては世界で初めて「JCI」の認証取得
「患者さんらしくない患者さんがいる病院」を目指す


取材協力● メディポリスがん粒子線治療研究センター
写真提供● メディポリスがん粒子線治療研究センター
取材・文●編集部 撮影● 関 朝之

 日本国内にあって「粒子線治療」を実施している医療施設は2014年1月現在、11施設である。うち重粒子線(炭素イオン線)による治療を実施しているのは4施設で、他の8施設はすべて陽子線による治療を行っている(兵庫県立粒子線医療センターは重粒子線と陽子線治療装置を併設)。2014年3月には、これら8施設に北海道大学病院陽子線治療センターが加わった。
 ここに紹介するのは、鹿児島県指宿市に立地する一般財団法人メディポリス医学研究財団「メディポリスがん粒子線治療研究センター」である。チーム医療で、日本で唯一のリゾート滞在型の粒子線がん治療施設—。「幸せな医療を提供する」ことをモットーとしている。粒子線治療施設としては世界で初めて、国際病院評価機構(JCI)の認証を取得している施設でもある。施設を率いているのは、菱川良夫センター長である。


菱川良夫センター長


センターの航空写真。遠くに開聞岳が見える
(写真提供:メディポリスがん粒子線治療研究センター、以下同)

私たちが目指しているのは「幸せな医療の提供」です

 メディポリスがん粒子線治療研究センターは、緑に囲まれた広大な敷地の中にあり、「指宿ベイテラスHOTEL&SPA」が隣接している。白を基調としたその外観は医療施設というよりは、観光地・保養地として名高い指宿ならではの「リゾート施設」そのものである。周りにはテニスコートやスポーツジム、事業所内保育施設も併設され、ゴルフ場や観光地の池田湖、開聞岳も近い。

 
施設には財団の事業所内保育施設「てんくうのもりほいくえん」も併設されている


背後に建っているのは指宿ベイテラスHOTEL&SPA

 菱川センター長は言う。
 「当センターでは、隣接する温泉宿泊施設『指宿ベイテラスHOTEL&SPA』に滞在していただきながら治療を受けていただくことができます。明るい南国の陽光あふれるリゾート施設で家族仲良く滞在し、心身ともにリラックスしながらがん治療を受けていただきたいと考えています」
 鹿児島空港から空港リムジンバスに乗りおよそ95分かけてJR指宿駅に到着。同駅からさらにシャトルバスに乗って約15分でセンターに着く。
 同センターで陽子線を用いた治療が開始されたのは2011年1月から。2014年3月31日現在、同施設で治療を受けた患者さんは1015人。患者数は当初の目標を上回って推移している。患者さんの内訳は、前立腺がん365人、肺がん200人、肝臓がん205人、膵臓がん91人、頭頸部がん47人、腎臓がん6人、その他のがん101人となっている。その他のがんの中には、骨軟部肉腫などが含まれる。


粒子線(水素原子イオン:陽子またはプロトンと言う)を加速するシンクロトロン。
光速近くまで加速し、がん病巣に向けて照射する


治療室の裏側にある重量175tの回転ガントリー


治療室。
360度どの方向からも陽子線を照射することができる

 がん治療に携わる同センターの理念および方針は、「病院らしくない病院、患者さんらしくない患者さんがいる病院を目指しています」(菱川センター長)
 一言で言えば、「幸せな医療を提供する」ことである。そのために心がけていることは、医師、看護師、医学物理士など「全員が一致団結してチーム力をアップして患者さんの治療にあたる」ことであり、「患者さんには常に笑顔で接すること」である。
「たとえ治らなくても、ここに来てよかったと思っていただけるような医療を目指したい」、「そのなかで、治る人をどんどん増やしていけたらいいですね」と菱川センター長。
 その幸せな医療の一環として現在、センターを挙げて取り組んでいるのは「乳がん治療への新しい取り組み」であるという。
 「より効果的な乳がんの治療法を確立するために、技術開発と治療研究を進めています。陽子線の『確実に止まる、制御できる』という特性を生かし、より精細な制御を可能とする乳がん用の陽子線治療装置を開発しました。乳がんは、転移のリスクが高いと言われているがんです。早期の乳がんを陽子線で治療し、治療後の転移を抑える方法を九州大学と共同研究しています」
 より精細な制御を可能とする「乳がん用の陽子線治療装置」は、国際特許を申請中であるという。
 菱川センター長自ら、受付待合室において「懇話会」を開いていることも同センターの特徴の1つだ。
 「当センターの設備や陽子線によるがん治療の特徴などをお話しし、治療に関するご質問やご意見などをお受けしております」と、菱川センター長は言う。

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